前回よりだいぶ時間が空いてしまい、改めて申し訳ありませんでした。今回はタイトルにもある通り、認知症の方との会話についてお話ししたいと思います。
はじめに、想像してほしいことがあります。ついこないだまで一緒に泣き笑い、生活を共にしていた人が突然物事が分からなくなり、しかも、疑い深くかつ小心的になりました。その上、時折あなたのことが知らないと言い、濡れぎぬを着させられることもあります。ただやはり、時々いつも通りにしているときもあります。
どうでしょうか?結構神経と気力を使う気がしませんか?また、認知症により体のリミッターのようなものが外れていることもあり、気持ちが落ち着かないと長時間起きてしまうこともしばしばあります。
では、どのようにすればよいのか3点にまとめて伝えられればなと思います。
1、怒らない、否定しない
大前提として、基本的に支離滅裂なことを話すことが多いため、答えがないようなことが主です。また、話している本人も整理がつかない為、どんどん脱線していきます。そうなってきますと、余裕があるときはいいですが、忙しい時や体調が悪い時とかはメンタルに来ます。
それは介護施設にいる職員もなります。むしろ一緒に過ごす時間が長ければ長いほどそうなりやすい傾向すらあります。
そうすると心理的に不本意ながらも威圧で鎮めようとするのは仕方がないことですが、そこを一度踏み止まって、落ち着いてから返答することをお勧めします。そんなの当たり前と思うかもしれませんが、いざとなると案外できないものですし、相手と自分を守る大事なことなのです。
2、余裕がある時は傾聴し、ない時は流し聞きで対応
会話というものは相手の言葉を受け取り、理解して返すの繰り返しです。ただ、人間は意味のないことに対して非常にストレスを感じるもので、もっと言うと理解できないことに対してさらにストレスを感じます。そしてそれは認知症の方も変わりありません。
なので、なにかを言ってきた際は基本的に聞く姿勢を見せれば大体大丈夫です。もちろん返答した方がよい時もありますが、返事したことによって様々な想像が働き、結果良くない方向に向かう場合もあります。
もちろん聞く余裕がない時もあるかもしれないので、その時は聞き流せば大丈夫です。適当な相槌をしてその場をやり過ごしてください。相手をバカにして、無視してるのと一緒じゃないか!!!という声が聞こえてきそうですが、会話一つで喧嘩して最悪な結末に向かうよりはいいと僕は思ってます。
3、約束事を無下にしない
認知症の方に特に堅調ですが、自分を安心させるために約束事を良く交わそうとしてきます。本当に多いです。介護現場ではデイサービスでもない限りすぐに家に帰ることはないので、家に帰りたいと訴える人が多くいます。そしてその最初は職員に怒鳴りつけて夜寝ないか、昼間は施設にいるから夕方には帰してと哀れみで訴えかける方に分かれます。*怒鳴りつけて夜寝ないはまた別の機会にお話しします。
その対応に追われている職員の多くは帰る日にちを伝えて、落ち着かせようとしますが、中には「分かりました。今夜帰りましょう」と嘘を言って、落ち着かせようとする職員もいます。一見後者の方が本人にとってもっとも臨んだ返答ですし、非常に効果的に落ち着きます。ただそれは一時的な効果でしかなくかつ、最終的にもっとも相手を傷つけてしまう方法でもあります。そしてその感情がより認知症を進ませるだけでなく、心理的にも大きな打撃を残すことになります。
それ防ぐためにも、たとえ忘れていようとも常に相手には正直でいることにし、達成できない約束をしないことです。
実際の介護現場でもそういった職員が帰った後、多くの方が不安に感じ夜も眠れないこともしばしばです。